アリス商店

アリスの雑記帳

酒税法とみなし酒造に関する覚書

https://twitter.com/tououtei/status/1441315234447200259?s=20

 

 

ひょんなことでバズってしまいましたが、結構酒税法というのは難解法であるようで

税理士資格受験予定者すらも今回の件について理解が難しいと言われたので整理

ツイッターでは140文字しかないので本当に要点しか説明できませんしね。

ですので、酒税法を勉強されてた方から質問を受けたので回答します。

 

【参考根拠】

酒税法第43条「みなし酒造」

酒税法施行令第50条(主に酒税法条文中存在する「政令」に該当)

国税局(財務省)通達

国会質問

 

Q1、みなし醸造は「水以外」なので水割りは最初からみなし酒造に当たらない。国税局の見解が間違っているのではないか?

 

酒税法第43条第1項】

酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和した場合において、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなす。ただし、次に掲げる場合については、この限りでない。

 

これを見ると「水」を混ぜる行為はみなし酒造に当たらないように思えます。

しかし第5条に次のように記述されています

 

酒税法第43条第5項】

第一項の規定にかかわらず、酒類の製造場以外の場所で酒類と水との混和をしたとき(政令で定める場合を除く。)は、新たに酒類を製造したものとみなす。

 

つまり第1項と第5項を見れば

A1、水割り(お湯割り)は一般人(一般家庭)が行う場合はみなし酒造に当たる。

私が前提条件を「宅飲み」としてる点を考えれば国税局の回答は、至当である。

 

 

 

Q2、これが違法であれば飲食店は全て全滅ではないか?

Q3、なぜ他人はだめなのか?

 

酒税法第43条第10項】

前各項の規定は、消費の直前において酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和をする場合で政令で定めるときについては、適用しない。

酒税法施行規則第50条第13項】

法第四十三条第十項に規定する消費の直前において酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和をする場合で政令で定めるときは、酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者がその営業場において消費者の求めに応じ、又は酒類の消費者が自ら消費するため、当該混和をするときとする。

国税局通達】

『自ら消費するため』には同居の親族が消費するためのものを含むものとし、他人の委託を受けて混和するものは含まないものとする

【国会質問(平成19年)】

逢坂誠二議員の第6番質問(上記、国税局通達の解釈は妥当か?という内容)

安倍晋三首相による回答「妥当であると考えている」

 

A2、規則第50条第13項により飲食店(店員)が客に提供する場合においては、直前に混和することは適応除外である。

 

A3、同じく同条文により「自分及び同居家族」が適応除外であり、「友人(他人)」は適応除外にならない。

 

※ 国税局の通達について、この記事を作成時、国税局HPより削除されてました。

  このためこの通達が有効であったのは、自分が当初国税局に確認した時点(2021年9月)であって、現在(2021年12月以降)は不明です。

 

 

Q4、梅酒についていろいろ

(いいの?だめなの?自家製梅酒を提供はどうたら、国会質問でOKってなかった?)

酒税法第43条第11項】

前各項の規定は、政令で定めるところにより酒類の消費者が自ら消費するため酒類と他の物品(酒類を除く。)との混和をする場合(前項の規定に該当する場合を除く。)については、適用しない。

酒税法施行令第50条第14項】

14 法第四十三条第十一項に該当する混和は、
次の各号に掲げる事項に該当して行われるものとする。
 当該混和前の酒類は、アルコール分が二十度以上のもの(酒類の製造場から移出されたことにより酒税が納付された、若しくは納付されるべき又は保税地域から引き取られたことにより酒税が納付された、若しくは納付されるべき若しくは徴収された、若しくは徴収されるべきものに限る。)であること。
 酒類と混和をする物品は、糖類、梅その他財務省令で定めるものであること。
 混和後新たにアルコール分が一度以上の発酵がないものであること。
15 前各項に規定するもののほか、酒類と他の物品(酒類を含む。)との混和に関し、必要な事項は、財務省で定める。

酒税法施規則第13条第3項】

 第五十条第十四項第二号に規定する財務省で定める酒類と混和できるものは、次に掲げる物品以外の物品とする。
 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりやん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
 ぶどう(やまぶどうを含む。)
 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
 
A4、
上記製造方法を遵守すれば梅酒(果実酒)を作ることはみなし酒造に当たらない
 
ペンション等で自家製梅酒を「提供」する行為については平成20年4月30日以降、免許・納税等が免除された特別措置が施行されており営業場の所在地を所轄する税務署長に対して「特例適用混和の開始申告書」を提出することにより可能である。
 
閣議決定の内容については、そもそも上記手順を遵守した自家製梅酒はみなし醸造に当たらないため「自家製梅酒=購入してきた焼酎」と同じ扱いである。質問は「自家製梅酒(原液)は販売してはならないが友人に譲渡してもよい」という内容であって、その自家製梅酒を水で割るなどの「更なる混和」に関しては言及されておらず、これまでの経緯から原液状態は問題がないが、水割等を行う場合はみなし酒造にあたると解せると判断する。ただし、この国会質問は上記の特別措置の件を考慮した場合、ペンション等では提供に許可が必要であるのに、友人に対しては許可が不要という点は、法の下の平等性として整合性が怪しく、この国会答弁(平成19年)を特別措置が施行されている現在(平成20年以降)でも有効であるかは確認が必要であると思料する。