GWも終了して新隊員もそろそろ前期卒業に向けて試験が始まる次期ですね。
さて新隊員教育で比重が最も大きい服務ですが
3大服務といわれる団結・規律・士気の項目は以下の通り
(参照:服務細則)
(団結)
第5条
部隊における団結は、部隊長を核心として強固なものでなければならない。強固な団結は、チームワークの完成によって確立するものである。
2 自衛官は、部隊の任務と自己の職責とを正しく理解し、その属する組織を 通じてすべてを部隊の任務達成に帰一させるよう、誠意をもって職分を尽く すとともに、上下敬愛、左右親和し、一致協力して事に当たる気風を養わな ければならない。
(規律)
第6条
部隊における規律は、自衛官が危難に際して身の危険も顧みず、専心 上官の指揮に従い、部隊の統制が確実に保持されるよう厳正に維持されなけ ればならない。
2 自衛官は、服従が規律を維持するための根本であることを認識して、上官 の職務上の命令を忠実に守ってこれを直ちに実行し、特に上官は、その発す る命令を適正なものとするとともに、自ら命令を遵守して服従の範を示さな ければならない。
(士気)
第7条
部隊における士気は、自衛官が進んで難局に当たり、喜んでその責に 任じて、部隊の任務が積極はつらつとして遂行されるようおう盛でなければ ならない。
2 自衛官は、使命を自覚し、自己の職責に対する自信を深め、いかなる任務 もこれを完遂することのできるおう盛な体力及び気力の養成に努め、特に上 官は、部下の福利厚生、健康管理、賞罰その他の人事管理を適切にして、士 気高揚のためのあらゆる措置を講じなければならない。
よく見ると団結って上官としてやるべきことが明確には示されていないんですよね。
この点において、私は
「団結とは規律と士気のバランスによって自然発生するもの」と解釈しています
例を表すなら、優勝に向かって練習に励むクラブがあったとします
優勝を目指すということは当然士気は高いです、そして優勝ともなればある程度の苦行(練習はもちろんのこと、娯楽等の一部制限)に耐える規律心があります。そして当然こういうチームは仲が良く、助け合う環境であることが多い。
つまり実務上では、確かに規律と士気を向上すれば団結はついてくるものと考えられます。その点を言えば団結会と称して宴会を開くことは団結の強化には全くならないとの結論に至り、私は自ら宴会を開くことはせず部下の自発的な主催に参加することのみにしています。つまり部下が自発的に宴会を企画して私を誘う=団結が成っているという認識です。
さて数ある指揮官の行動を見ますが、団結を置いておいて、規律と士気においてはほぼ100%「規律の強化」を重視しています。しかしながら私は本質的に「規律の強化」は必要がないと考えています。
これは自衛官もとより日本人は性善説であり、本質的に規律心が高く、違反者はだいたい何かしら闇があるからです。つまり不満さえなければ、誰も好き好んで犯罪をしないと考えています。
この点から私は服務方針をほぼ「士気の高揚」に全振りしています。
私は今まで飲酒・喫煙を一切禁止していません。
しかしなが多くの指揮官はおそらく「士気の高揚」については否定的です
それはもちろん性悪説に基づき、規律が緩い=違反が起きやすいと考えているからであり、さらに万が一、規律違反があった場合、当然責任回避が難しいからです。
しかしここで条文に戻りますが規律とは
「自衛官が危難に際して身の危険も顧みず、専心 上官の指揮に従い、部隊の統制が確実に保持されるよう」
つまり「任務を完遂するため」に必要なものであり、無意味に隊員の行動を制限することを規律とは言えないと私は考えています。
そして統計上、違反を起こす部隊はとにかくこの「間違った規律」を作っている組織です。おそらく、この意味のない理不尽な統制がストレスを発生させてどこかで暴発するのでしょう。だから私は「間違った規律」は一切制定しないことにしています。
これは指揮の要訣といって作戦要務令(旧日本軍教範)にあります
指揮の要訣は、部下軍隊を確実に掌握し、明確なる企図の下に、適時適切なる命令を与えて、その行動を律すると共に、部下指揮官に対し、大いに独断活用の余地を与うるにあり。
または
指揮官は決心に基づき、適時適切なる命令を発す。命令は発令者の意思および受令者の任務を明確適切に示し、かつ受令者の性質と識量とに適応せしむるを要す。受令者の自ら処断し得る事績はみだりにこれを拘束すべからず。
まぁ何でもかんでも規則で縛ればいいってものではないことは確かですね。
過去の教訓でいえば、ラインハルトも言ってましたかな「軍隊は余計な規則を作りすぎて、それを守ることに固執して、本当に守らないといけないものをおろそかにする」と